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| (岡田忠之インタビュー) |
| Q |
8耐の経験豊富な岡田さんに伺いたいのですが、自分の担当の1時間(8耐ではライダーがおおよそ1時間ごとに交代する)を走るとき、どんなことを思って走っているんですか。 |
| 岡田 |
一番しちゃいけないことは、自分を見失っちゃうことですね。自分を越えちゃいけない。まずスタートしてすぐのセッションは、スプリントレース並みに競い合ってますからある程度の緊張感はその中で保てるんですけど、それがだんだん等間隔になって、離れていったときに集中力を絶やさないこと。非常に体温が上がった中で集中しなきゃいけない。結構ぼーっとしたりしますから、そのへんの対策も常にしておかなきゃいけない。まあ、緊張感は常に保てなきゃいけないですね。それが一番大事だったりする。
で、3セッション目、4セッション目になると、だいぶ路面温度が下がり、気温も下がってくる。すると、レース展開とかもいろいろ考えられるようになるので、1回目、2回目を乗り越えちゃえば、あとはだいぶ楽になります。だから、集中力だけは絶やさずに1回目、2回目をなんとか乗り切れば、というのはいつも思ってます。 |
| Q |
ライバルのようなライダーと競い合って走るのも、楽しいのでは? |
| 岡田 |
一緒に走っていたほうが楽ですね。同じタイムであれば、ずっと一緒に。あまり抜きつ抜かれつやるとタイムが落ちちゃいますから。引き離せればいいんですけど、同じくらいのアベレージで走られると、引き離すというのはできないですね。
あとはスパートのかけ方もいろいろあるんですけど、まあ、バトルしていたほうが楽ですね、淡々と走るよりも。 |
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| Q |
岡田さんが8耐から一番学んだことというと? |
| 岡田 |
やっぱり、チームワークですね。支えてくれてる人がどれだけ重要かっていうのが、一番感謝する部分ですよね。あの暑い中、8時間立ちっぱなしで、熱いホイールを持ったり、チンチンになってるバイクの作業をしたりするわけですから。
スタッフに支えられて初めてレースができるんだな、っていうのは、8耐のほうがスプリントレースよりも凄くよくわかりますね。スプリントレースはある程度、技量の勝負みたいなところがあるんですけど、8耐は本当に、ピットワークでもミスできないですし、ピットワークで1秒ミスしちゃって、コースに出たときにその1秒の差を詰めるっていったら、まさしく辛い。ガムシャラになっても何周もかかってしまう。そのへんは非常に感謝する部分でもあるし、重要な部分ですね。 |
| Q |
チームというファクターが8耐では特に大きいんですよね。 |
| 岡田 |
一番重要な部分ですね。ファクトリー(メーカーが直接運営するチーム)で言えば、メカニックに若い人を入れて、教育する場所としても、あそこはあるわけですよ。そういう場所で経験させることによって、会社の中での人間的な部分での視野を広げていったり、技量を上げていったりするんですけど。1人でもミスがあると、チームのムードが崩れていったり、セッティング、レースの結果に影響が出てしまったりとかする部分なんで、一番重要なところです。
また、人それぞれが自分に与えられた仕事だけをやるのでもない。レースというのは時間が限られていますから、自分の仕事が終わって見ている人はいないです。誰か困っていないかとか、視野が広がるんですね。考えるんですよ、いろんなことを。非常に重要なんです、ひとりひとりの存在が。 |
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| Q |
8耐に出場するとき、Hondaのライダーとしての重圧みたいなものは感じますか。 |
| 岡田 |
まあ、責任感はあります。ただ圧力はかかんないです。(責任は)僕1人が背負うものでもない、全員が背負うものなので。総合力なので。そこに選ばれたら、もうすでに選ばれてるわけですから、あとは仕事をするだけですよね、勝つためにはどうしたらいいか。特に圧力はないですよ。レースって、楽しくやらないと、結果が残らないので。 |
| Q |
8耐に参戦するときは何を目標に? |
| 岡田 |
1番ですね。サテライトチーム(メーカーと協力関係にあるチーム)から出る場合でも、表彰台は必ず狙ってますし、その中で1台でもファクトリーを後ろに従えて、っていうのは考えてますね。自分の今まで経験してきたいろんなものをチームに落とし込む――セッティングの進め方であったり、チームのムードを作っていかなきゃいけない場面もありますし、それが僕にできる仕事だと思って、いつもやってますね。 |
| Q |
8耐は、岡田さんにとっても、特別なレースですか。 |
| 岡田 |
やっぱりね、夏の祭典なんですね。で、自分をアピールできる場所なんですよね。海外選手がいるじゃないですか。普段、MotoGPのテストやってますから、馬鹿にされたくないですよね。遅いライダーとして見てもらいたくないんで。今のHondaのMotoGPのマシンをチャンピオンにさせるうえでも、僕はそういうスキルを保ってなきゃいけないというのはあります。Hondaのイメージになりますから。 |
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| Q |
今、岡田さんはMotoGPマシンの開発ライダーを務めていらっしゃいますが、現役ライダーと開発ライダーで、考えることに何か違いはありますか。 |
| 岡田 |
現役っていうのは、このバイクを勝たせるためにはどうしなきゃいけない(と考える)。レースウィークって思ったよりも時間がないんですね。1時間って、走ってるとあっという間です。15分か20分くらいで終わっちゃうような感じです。鈴鹿だと1周が2分ちょっとくらいかかって、集中して走ってマシンの状況を判断するのに、やっぱり最低でも5周とか6周かかりますから。だから、現役のライダーは、1番を狙うにはセッティングの近道をしないといけない。でも、その近道って、お手本が何もないんですよ。要は、自分のライディングに合ったセッティングをどこまで詰められるかが本当の勝負ですね。 |
| Q |
開発のほうはいかがですか。 |
| 岡田 |
開発っていうのは、マシンの総合の戦闘力をどういうふうに上げていったらいいのか、ということです。ライダーのコメントを全部会社が吸い上げて、ライダーの方向性に合うパーツなりエンジンなり車体なりを、僕らが、今、テストしています。
僕が個人的に思っているのは、テストの内容というのは、(現役ライダーと)同じくらいのスキルで判断しないといけない。マシンの挙動も、5秒とか10秒とか遅かったら全然コメントが違ってきちゃうんですね。だから、常に僕も集中して、常に高いスキルを持てるように集中して走っています。 |
| Q |
バイクの面白さ、魅力って、どういうところにあると思いますか。 |
| 岡田 |
そうですね、バイクを通して、自分の性格が出ますね。荒く乗る人もいれば、静かに乗る人もいる。普段好きでゴルフやったりするんですけど、あれも性格出ますよね。それと同じように、走り方にも性格が出るんです。そのへんが見てて、人それぞれで面白いなあ、っていう部分もあるし。
あとはやっぱり、自分が狙っているタイムとか成績に、走れば走るほど近づいていくわけです。そのときの楽しさとか、その結果が出たときの達成感というのが、もう何にも変えられないくらい充実してますし、本当にやっててよかったなと思います。
でも、一番大事なのは、バイクに乗ってて、楽しいんですね。乗ることが楽しいんです。現役終えてから、ツーリングとか、また違ったバイクの楽しさっていうのを味わっています。子供ともたまにバイクに乗りにいったりしますしね。どんどん年を追うごとに、バイクの楽しい部分がいろんな形で増えてきますね。そういう意味では、最近、充実した時間が、また違ったカテゴリーでひとつ増えました。 |
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